筋スパズム(筋硬結)は治せるか?~その特徴と治療法~

筋スパズムとは?

 このブログの前身である『理学療法士greenのセラピストーク』の検索ワードで最も多かったのが、この「筋スパズム」です。結構皆さんもこの現象に興味があるのでしょうね

 筋スパズム(muscle spasm)とは筋の攣縮のことで、筋線維の一部が持続的・不随意的に収縮しつづけている状態です金h肉 生理学では単収縮twitchのことも“攣縮”と言ったりしますが、これとは違う現象です。また、こむら返りなどの有痛性痙攣はmuscle crampと言い、これも異なる現象です。

 わかりやすい例で言うと肩(首)こりの本態が筋スパズムのようです 肩 しかし筋スパズムの現象や発生機序については諸説ありすぎて、まだ解明できていないことが分かります。医学的な定義も曖昧ですよね。

 下図は教科書等でよく見る筋スパズム関連の一般的な仮説です。


臨床上の特徴

 発生機序や病態は諸説ありますが、臨床でみる筋スパズムの特徴はおおよそ以下の通りです鉛筆

① 触診や筋の伸展時に硬さや張りを認める(筋緊張が亢進しており、腱反射もわずかに亢進)

② スパズムを起こした筋線維は、随意的に弛緩させることが困難

③ スパズム筋は短縮しやすく、通常は可動域障害が生じる(→拮抗筋の短縮)

④ スパズム部の硬さは、筋を他動的に縮め(ゆるめ)ても一定(拘縮ならばゆるむ)

⑤ 通常、伸張痛や圧痛(trigger point)、運動時痛などを伴う(痛みは筋腱移行部に生じやすい)

⑥ 筋の硬さは筋全体に一様に起こるよりも、1つの筋内に局在する(部分的な点在 ≒ 筋硬結)

 trigger point筋硬結と呼ばれるものも、その特徴を見てみると、おおよそ筋スパズムと同類の現象と考えてよさそうです(臨床的にはあまり分ける意味はないと思います)。

 あるいはAwadの報告に代表されるように、筋硬結というのは筋スパズムが長期化し、病理的変化を伴いはじめた段階かもしれませんね。

 もともと筋スパズムは筋線維の機能異常であり、反射的に攣縮しているだけなので、本来は病理的な変化を伴いません。骨格筋だけでなく血管も平滑筋という筋肉ですのでスパズムを起こします(血管攣縮)。

 さて、この筋スパズム。臨床では痛みを有するあらゆる患者にその存在を認めます。肩関節周囲炎、頸椎症、椎間板ヘルニア、変形性関節症、筋筋膜症候群、線維筋痛症、骨折後や関節リウマチなどの運動器疾患がそうですね。

 また脳・神経疾患での麻痺や筋緊張異常のある上下肢、呼吸器疾患患者の胸郭や腰背部などにも認めます(特に慢性期)。

 その主な共通点は痛みですが、OverstretchやOveruse(過剰なストレッチや運動負荷)といった2次障害でも生じます。筋スパズムはある意味、侵害刺激に対する筋線維の防衛反応なのかもしれませんマッチョ


関節機能異常との関連

 そしてもう1つ最大の特徴が関節機能異常との関係です(⇒ 関節機能異常について

 実はこの関節機能異常を治療すると、その関連する領域の筋スパズムが一瞬で消失します。数時間後に段々とではなく、治療直後に治るのが特徴です。ですから上に書いた疾患を問わず、筋スパズムはすぐに治せます

 しかし、その治癒機序はまだ仮説の段階です。これは今後の研究が待たれますが、とりあえず臨床では筋・筋膜のマッサージ系手技よりも即効性と持続性があり、運動療法としては最も有効だと考えます。


筋スパズムを放置すると…

 さて、この筋スパズムは筋線維の機能異常ですから臨床ではすぐに治せるのですが、もし適切な治療がなされないとどうなるか。

 痛みを無視して筋スパズムが残存し続けると、今度は周囲の結合組織(筋膜)が攣縮した筋線維の長さに合わせて短縮します。つまり筋拘縮(muscle contracture)が生じ、これがさらには変形(骨棘や異所性骨化の発生)や強直(線維性・骨性連結)へと進行する、という可能性があります。

 ですから筋スパズムの早期治療は、機能予後的にとても重要なのですチェック 関節の機能障害から筋スパズムが発生し、さらに拘縮・変形へと進む過程については、こちらの記事で説明しています ⇒ クリック

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